2月も終わりを迎え、北海道はようやく最も寒い時期を脱してきたように思う。
年度末を迎えるにあたって、今年の学びを整理したい。
1月中旬に2021年度5月から取り組んできた「政策討議演習」の学内報告会が執り行われた。
この政策討議演習という講義は道内の自治体から与えられた課題を1年間かけて学生グループで取り組むという、北大公共政策大学院の名物講義の一つである。最終的には自治体に対して政策提言という形で、1年間の活動の成果を報告することになっている。この講義は講義時間外にもグループワークの時間を多く取る必要があるので、非常に負担が大きい。取る人は注意しよう。
今回のテーマは、北海道芽室町議会より与えられた「町民にとって分かりやすい議会活動評価」であった。これだけを聞くとはっきり言ってわけがわからない。自分も課題が与えられた当初困惑したことを覚えている。
そもそも地方議会とはなんだろうか。
地方議会とは、日本国憲法第93条及び地方自治法第89条等に基づき地方公共団体に設置される議事機関のことである。市町村ごとにあるので、全国に1700以上もある。
「地方議会」という言葉を聞いて、初めの頃は国会と混同させてしまう部分が多くあった。某公共放送で中継されている国会中継の印象が強く、地方議会に対する解像度が低かったのだ。
これまでの人生で神奈川県藤沢市、北海道札幌市で生活を送ってきたが、どちらの市議会に関わったことは一度もない。(ここでいう関わるとは、議会に参加するというよりも、議会活動に注目する、議員を知っている、議会を傍聴したことがあるという意味合いだ)
一度も地方議会に関わったこともないくせに、地方議会に対して(政策)提言をするなんぞ、なんて烏滸がましいことであるか。前半戦は地方議会を知ることから始まった。
とある日、「芽室町議会全国2位」という見出しの記事が教員から共有された。
地方議会にランキング?なんだこれは。聞いた時の率直な感想だ。まあとにかくこんなランキングで上位に輝いているのだから、芽室町議会はさぞかし素晴らしい議会なんだろうと思った。
このランキングを統括しているのは、早稲田大学マニフェスト研究所である。本研究所は議会改革をはじめ、マニフェスト、行政などの政治に関わる分野を対象としている。その中の一つが地方議会改革ランキングである。各自治体に対して質問を送り、その回答に応じてポイントを配分し、総合得点をもとにランキング化するという調査になっている。
このランキングを知ったのは、芽室町現地へ訪問する前のこと。この時点で色眼鏡がかかってしまった。芽室町議会は先進的でもはや我々学生が提言せずとも、十分に機能しているのではないかと思ってしまった。あれ、ここで講義終了か?
そんな風にうまくいかないのが世の常。
議員さん、町民の方々へのインタビュー調査を通じて、徐々に芽室町議会としての課題が浮き彫りになってきた。議会改革活動として、様々な取り組みを銘打ってきたが、いまいち住民に響いていない。住民側からも、議会に対する印象が薄いといったような声が聞かれた。
もしかするとレギュレーション違反かもしれないので、多くを語ることはできないが、今回聞かれた声は全国の地方議会に共通して言えることなのかもしれない。
地方議員のなり手不足というトピックが最近ニュースで話題になっている。自治体としての方針を決めていく上で必要な役割を担う地方議会の成り手がいない。
「政治参加」と聞くと国政が真っ先に思い浮かぶが、まずは身近な地方議会の動きに関心を持つことが、政治参加を促す一番の近道なのかもしれない。そんなことを思った政策討議演習であった。
次回、これからの地方議会をどう考えていくか。芽室町での学びをもとに地方議会との向き合い方を自分なりにまとめてみる予定だ。